みたて農園 立見茂さん

2012年、滋賀県長浜市で米農家として活躍されているみたて農園の立見茂さんを撮影取材させていただき、取材結果は当時『つなぐ』というブログで毎月発信させていただきました。
以下、第一回記事「動機」より

震災が起きてから、食に対して意識するようになった。放射性物質。自分の食べるもの子供に食べさせるもの。体内に入れる私達が生きるために必須なものに対して、今まで意識がとても薄かったことに気付いた。

自分は今生かされている。お金は会社に行くことで貰い、そのお金を使って店でモノを買い、そして生きている。もし、この世界で自分一人になった時、自分の家族だけになった時、僕は生きていく術を何も知らない。世界で一人は言いすぎかもしれないけれど、今の仕事がなくなったら何も出来ない気がする。それは凄く怖いことだと思った。

生物としてこの世界に生きているのに、個になった時に生きていくことが出来ない。

僕の仕事は原子力発電所の設計だ。震災が起きるまでは何も苦労せず、将来安泰な未来を送れると思っていた。壁は何も無かったから。仕事に対して迷いが生じた。僕の子供はまだ小さい。放射性物質の影響は、細胞分裂の活発な小さな子供にこそ影響が出やすい。僕は子供達を、人々を苦しめる可能性のあるモノを造っている。要る要らないではなく、子供達の未来を自分の手で消す可能性を持っているということ。嫌になった。

土に生きる人達に出会った。

会社というのは、組織が表にあって、その中に人がいる。QAを重視するように、誰がやっても同じ品質のものを提供する。それが大切。言い換えれば、作るのは誰でも良い。その会社のブランドが表に付けば。

土に生きる人達はそうはいかないと思う。自分が食べるためには自分の手でモノを作らなければいけない。会社も同じだけど、責任が違う。自分がサボっても誰かが変わってくれる会社と違って、自分のサボったことが自分の生活に直に刺さってくる。仕事の責任。生な感じ。土に生きる人の話を聞いてそう思った。

今までお米はスーパーで一番安いものを選んで購入していた。お米なんてみんな同じだろうと思っていた。

全然違った。

何故こんなに違うのか。

 

広大な田んぼからお米がどのように作られるのか知りたい。

自分とは異なる生き方をしている人のことを知りたい。

土に生きるということを知りたい。

自分で生きるということを知りたい。

 

写真を撮る。自分の視点を残して、客観的に見てみたい。僕は目の前にした時何を見るのか。自分の生き方に対するヒントがそこにあるかもしれない。ないかもしれないけど、知りたい。